高津区向ヶ丘・しばられ松(マツ)

川崎市まちの樹50選・番外編

高津区向ヶ丘のしばられ松(聖松)

地元に伝わる、子どもの病気を治す松

昔、相模から訪れた六部(巡礼者)が百日咳にかかり、この地で亡くなり、その跡に植えられた松が「聖(ひじり)松」と呼ばれるようになりました。

この松はとても寂しがり屋で、ときどき仲間の松のところへ遊びに出かけてしまったそうです。

伝承に「枝葉が相模の国の方向を向いて茂っていた」とあるので、相模の国へ遊びに行っていたのかもしれません。

困ったことに、この松が飛んで遊びに出かける際の風で、子どもたちが風邪(百日咳?)をひいてしまったそうです。

そこで村人たちはどこにも行かないようにと松の根元を縄で縛ったそうです。

すると、子どもたちの百日咳が治まったことから、いつしかこの松は「しばられ松」と呼ばれるようになり、地域の子供が病気になると、素縄を左に編んで松に結び願をかけ、病気が治ると、今度は右縄を編んで幹に結び願ほどきをする風習が生まれたそうです。

明治二十年ごろ落雷にあい、現在の姿になってしまったようです。

今も残る「しばられ松」という呼び名には、この土地で暮らしてきた人々の素朴な信仰と、子どもたちの健康を願う思いが込められています。