川崎市まちの樹50選・稲毛神社「イチョウ」

川崎市まちの樹50選・指定番号01

稲毛神社の大イチョウ(公孫樹)

樹齢一千年といわれる御神木

江戸時代から「山王様の大銀杏」として人々に親しまれてきたこの木は、長い年月にわたり、川崎の街とそこに暮らす人々を見守ってきました。

御神木大銀杏十二支巡り

その大きな幹の周囲を願い事をしながら回ると、縁結び、子授け、子育て、学問や稽古事の上達などにご利益があると伝えられています。

武将たちの祈りを見守った古社


稲毛神社の創建年代は定かではありません。

しかし、境内に立つ大銀杏の存在は、この神社が長い歴史を歩んできたことを静かに物語っています。

社伝によれば、その始まりは古代にまで遡り、東国の争乱の中で武甕槌神(たけみかづちのかみ)を祀ったことが起源とされています。

その後も、武家から篤い信仰を集めました。

鎌倉時代には源頼朝の命によって佐々木高綱が社殿を造営したと伝えられ、さらに大般若経600巻が奉納されるなど、武将たちの信仰を集める神社として発展していきます。

そして江戸時代。

徳川家康や天海僧正からの寄進を受け、川崎宿と周辺の村々を守る鎮守として、さらにその存在感を増していきました。

「東の祇園」と呼ばれた祭り

東海道の宿場町として川崎宿が賑わいを見せるようになると、稲毛神社もまた人々の暮らしの中で重要な場所となります。

毎年6月15日に行われる例大祭、「河崎山王まつり」は大きな賑わいを見せ、その盛況ぶりから「東の祇園」とも称されました。

旅人が行き交い、商人が集まり、祭りの日には多くの人々で賑わった川崎宿。

その光景を、この大銀杏はどれほど長い間、見つめてきたのでしょう。

千年の木が語る、川崎の記憶


武将たちの祈り。
東海道を行き交う旅人。
川崎宿の賑わい。
そして、時代とともに変わりゆく街の姿。

そのすべてを、大銀杏は言葉もなく見守ってきました。

春には新緑、夏には深い緑、秋には黄金色の葉をまとい、季節が巡るたびに姿を変える大銀杏。

けれど、その根は変わることなく、この場所にあり続けています。

千年という歳月は、一本の木にとっては一つの生命の時間。

その木の前に立ち、太い幹を見上げていると、川崎の街が歩んできた長い歴史が、年輪の向こう側から静かに語りかけてくるようです。